変化する働き方に対応すべく、社内チャットボットを導入!
利用者倍増と返答率94%実現の秘訣とは―会話履歴を活用したユーザー視点のメンテナンスやポップアップアイコンの工夫を深堀り
1895年に創業し、「はかる」技術をコアコンピタンスとして主要事業の「通信計測事業」「プロダクツ・クオリティ・アシュアランス事業」を中心に、安全・安心な社会の実現に取り組んでいるアンリツ株式会社(以下、アンリツ)。中心事業となる「通信計測事業」は、スマートフォン・基地局データセンターをはじめとする通信機器が問題なくつながるかどうかを「はかる」ための測定器を提供するなど、人々の生活に密接につながり、安全・安心で豊かなグローバル社会の発展に貢献している。
社内ITの企画・開発・運営を担っているDX推進部(旧・経営情報システム部)では、かねてより社内の問い合わせ対応に課題を感じていたが、コロナ禍による働き方の変化、申請書の電子化に伴い、問い合わせ対応の自動化と社内情報アクセスの効率化が急務となった。そこで2021年5月末にサポートチャットボットを導入。当初は限定的な活用を想定したというが、現在はその活用幅は想定を超えて広まった。ここでは、DX推進部の田村幸大氏、新倉拓也氏に導入の経緯、そしてサポートチャットボット活用の手応えなどを伺っていく。

DX推進部WEB/インフラソリューションチーム
主任 田村 幸大 氏
新倉 拓也 氏
課題
コロナ禍を経て変化する働き方に対応するべく社内問い合わせ業務を一気に自動化! シンプルな使用感&引き継ぎも簡単で運用がしやすいサポートチャットボットを導入
社内ITシステム全般を統括するDX推進部では、年々増加する社内問い合わせに課題を抱えていた。社内でのFAQの掲載数はDX推進部だけでもおよそ600件。各種申請に伴う説明や細やかなマニュアルが多く、かねてより1日に数十件もの問い合わせが届いていたという。田村氏は「説明やマニュアルを掲載しているFAQページの認知度が低かったために、URLを答えるだけの電話問い合わせが多くありました。また、専門性の高い分野に関する問い合わせ対応については属人化しており、目的の情報へのアクセス向上は急務で、チャットボット導入の検討をスタートしました」と振り返る。

チャットボット選定を始めたのは2020年。奇しくもその年、世間はコロナ禍となり、社員の多くは在宅勤務を余儀なくされることになった。しかしヘルプデスク対応も担うDX推進部では、働き方の変化に加えて、各種申請書の電子化への移行もスタートし、電話問い合わせに応対するため常時数名が出社しなければいけない状況だったという。「これまで抱えていた電話対応という課題が如実に顕在化する中で、まずは問い合わせの多い各種申請ページの案内の自動化に目的を限定して、チャットボットの本格導入へと動き出しました」と新倉氏。

選定の決め手となったのは、
- アンリツで使用しているSharePointとの連携が可能で、社内ポータルサイトのトップに配置可能なこと
- 管理する側もユーザーもシンプルに使えること
- そして管理担当者がいつでも柔軟に類義語登録ができ、質問時の言葉の揺らぎに対応できること
の3ポイント。
新倉氏は「当初は、チャットボットにたくさんのQ&Aを登録しようとすると、運用工数や時間がかなりかかると考えていたので、自分たちでは運用しきれないと考えていました。しかし、チャットボットの構築はエクセルへの一括入力で可能。また構築したシナリオに沿って回答の修正や編集、新規登録も簡単にできました。快適な操作性で運用がとにかくラクにできる、運用する側もユーザーもシンプルに使えるという印象でした」と導入の決め手を語る。かくして、2021年5月にサポートチャットボットの運用がスタートした。
解決策・運営方法
会話数や利用者数をわかりやすく可視化できる管理画面で的確なチューニングが可能に! トレンドキーワードを掲載したポップアップアイコンで利用を促進
管理画面では、利用したユーザー数や回答の表示回数を日別や期間ごとに可視化できる。新倉氏によれば「未解決のQ&Aや問い合わせの多いキーワードをランキングで一覧表示する問題解決ランキングは本当に役に立ちました。見られていないQ&Aや、未解決の多い回答が可視化でき、回答の必要・不必要の判断や、回答の改善ポイント、質問のカテゴリ分けを的確に把握していくことができます」という。
「会話履歴が細かくチェックできる点も便利です。履歴を追うことで、具体的にどのような質問をしたのかもわかるので、Q&Aの見直しにも役立ちます。選択肢にとらわれずに自由入力で寄せられた“ユーザーが知りたい質問”を把握できるので、新たに必要なQ&Aの検討に加えて、履歴から未解決や不一致の糸口を探ることもできます」(田村氏)
ユーザーの使用感向上と返答率を高めるために類義語登録も大いに活用している。新倉氏によると「サービスと製品が数多くあるため、人によって使う言葉が違うことが多いんです。導入当時では“テレワーク”という言葉も、人によっては“在宅勤務” “リモート”などさまざまでした。そこで類義語として登録し、言葉の揺らぎにも対応できるように。管理画面を通して、追加した類義語にどれだけヒットしたかも確認できるんです。このヒット数を目安に類義語の取捨選択の判断や、的確な類義語の参考にしながら、より広く伝わりやすい質問文への見直しなどにも生かすことができました」。

DX推進部での活用が順調に進んだことで、より活用の幅を広げるべく、人事総務部、経理財務チームでもサポートチャットボットを新規導入し、部門ごとの質問に対応できる体制を整えた。 運用ポリシー、利用手順書などを作成し、導入から1年でチャットボットの運用をヘルプチームへと引き継いだ。田村氏は「運用手順書を見れば誰でも簡単に操作ができ、苦労や混乱はなかったです」と振り返る。
では、チャットボット運用において認知向上施策はどのようにしていたのだろうか。「実は導入当初は、問い合わせ内容を各種申請ページの案内に限定していたこともあり、利用者は少なかったんです。Q&Aが充実し、より便利に使えると手ごたえを感じたことで、設置場所を増やし、ポップアップアイコンにトレンドとなるキーワードを吹き出しで記載するようにしました」(新倉氏)

吹き出しを更新することで、徐々にチャットボットで回答できる内容が浸透し、利用率は2倍以上にまで増えたという。「最寄り駅と弊社をつなぐシャトルバスの時刻表や、社内マップ、プリンタの設定やツールのトラブル時など、ふとした時に必要な情報を格納しておく利便性があることにも気づきました」と利用者が増えるにつれて意外な発見もあったと田村氏は語る。
成果
Q&Aの拡充とポップアップアイコンの工夫によって、利用者の倍増と同時に、94%以上の返答率を実現!
導入当初は各種申請書の案内という限定的な活用で、Q&A数は100件程度だったが、導入から1年で、Q&Aの登録数は3倍以上にまで拡充した。活用幅と認知が広がったことで利用者数も右肩上がりで、アイコンに吹き出しをつけてからの1日当たりの利用者数は2倍以上にまで増加した。そのなかでも、返答率は94%以上というハイアベレージを維持している。
田村氏は「今では、問い合わせの多い申請書関連はもちろんのこと、SaaSシステムの問い合わせ対応をはじめ、年末調整、新サービスの操作方法など一時的に需要の高いQ&Aを登録し、役立てています。特にツールの入れ替え時や、障害発生といった緊急時には、問い合わせが集中するのですが、チャットボットのアイコンに緊急時のキーワードを反映することで電話問い合わせも大きく削減できています」と語る。
新倉氏も「まずはチャットボットで一度検索してから問い合わせるという人や、電話をかけるほどではないけど調べたいと思っていた人の受け皿になっていると感じています。同期の社員や利用している社員に話を聞いてみると、問い合わせへの心理的な障壁が減少し、必要な情報へのアクセスがラクになったのではと感じています」とその実感も。
今後の展望について伺うと「チャットボットで何が回答できるかを発信することと、ユーザーが何を捜したいのかを運用側が理解することが大切だと感じています。今後も発信することで利用者を増やしながら、不必要になったQ&Aの取捨選択や、よりわかりやすい回答への改善、またトレンドとなるQ&Aを追加するために、定期的に利用統計を分析し続け、多くの人に利用されるユーザーに寄り添ったサービスチャットボットを作りあげていきたいですね」と田村氏。
新倉氏は、「サポートチャットボットで問い合わせを自動化できるようになり、対人での対応が必要な問い合わせに時間をかけることができるようになってきたという手応えを感じています。今後はさらに認知を広げるために、Teamsなどさまざまなプラットフォームにチャットボットを搭載して、目につく機会を増やして使い勝手の良さを追求していきます」と語った。

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