API連携を活用して問い合わせ件数を42.9%削減、88%の問い合わせがチャットボットで完結!「個別回答の自動化」で月間105時間の対応工数削減を実現
Share業界最大級のパネルネットワークと技術力を誇り、日本・アジアを中心にグローバルな市場調査・マーケティングで新しい価値を提供する『GMOリサーチ&AI株式会社』(以下、同社)。オンラインでの市場調査や、消費者インサイトを引き出すインタビュー調査、アンケートプロモーションなど、パネルサプライヤーとしてビジネスやマーケティング課題に適した調査サービスを揃えているのが特徴だ。
サービスの1つとして同社が運営するアンケートサイト「infoQ」は、モニター会員数が80万人を超える巨大なプラットフォームである。日々膨大なアンケートが流通し、多くのユーザーが活動する中で、同社が直面していたのが「問い合わせ業務の工数増大」という課題だった。特に、ユーザー個別のステータス確認が必要な問い合わせに対し、スタッフが手動でデータベースを照会する作業が業務の6割を超え、現場を圧迫していたという。
この状況を改善したのが、サポートチャットボットだ。同社ではAPI連携を駆使し、個別の回答状況やポイント付与状況を自動で回答する仕組みを構築した。その結果、問い合わせ件数は42.9%減少し、当初は3名で対応していた業務を現在は1名で対応できている。また、問い合わせの約88%をサポートチャットボットで完結しているという同社の活用方法や具体的な成果について、プラットフォーム本部パネルイノベーション部の尾崎氏にお話を伺った。
課題
月1,400件以上の問い合わせがあり、1日の半分を回答に費やすことも珍しくなかった
社内データベースを手動で確認していた問い合わせを削減するためにチャットボットを導入
同社の「infoQ」は、アンケートに答えることでポイントが貯まるポイ活サイトとして高い人気を誇る。しかし、サービスの規模が拡大するにつれ、ユーザーからの問い合わせも増加の一途をたどっていた。サポートチャットボットを導入する前の状況について尾崎氏は「月間で平均1,456件の問い合わせがあり、その対応時間は244.6時間に達していました。3名体制で運用していましたが、問い合わせの大半が、手動で社内データベースの確認を必要とするものでした」と振り返る。
「infoQ」にはFAQページを設置していたものの、データベースの確認が必要な問い合わせには、人が対応する必要がある。具体的な問い合わせ内容として尾崎氏は「ユーザーからは『回答したアンケートが正しく反映されているか』『ポイントはいつ付与されるのか』といった質問が多く寄せられます。これらはユーザーごとに状況が異なるため、一律の回答では解決できません。スタッフがその都度、社内のデータベースにアクセスし、ユーザーIDやアンケート番号を照合しながら、個別に回答する必要がありました。こうしたデータベース参照を伴う問い合わせが、全体の6割以上を占めていました」と教えてくれた。
1件の問い合わせごとに、データベース参照から返信作成まで平均10分を要し、多い日では1日の半分以上を手動問い合わせ対応に費やす状況だった。これでは、サービスの利便性向上などにあてる時間がなくなってしまう。
当初、同社では既存のFAQを改修することで、ユーザーの自己解決を促せないかと考えていた。しかし、FAQでは表記揺れへの対応が難しく、なかなか自己解決を促せない。「チャットボットはユーザー自身の言葉で問い合わせできるのが魅力でした」と、尾崎氏はチャットボット導入の背景を語ってくれた。
複数のツールを比較検討を経て、サポートチャットボットを選定した決め手について、尾崎氏は「API連携」「直感的な操作性」「コストパフォーマンス」の3点を挙げた。
「ユーザーごとの問い合わせに対応するため、社内のデータベースとAPI連携できることが絶対条件でした。その上でサポートチャットボットは直感的に操作できますし、価格に対するサービスの充実度が優れています」と尾崎氏は説明する。特に高く評価したのが、フローの編集をクリックやドラッグ&ドロップで完結できる点だ。「今後、メンバーの入れ替わりがあった際でも簡単に引き継ぎができると感じています。仮に操作がわからなくても、管理画面内にあるチャットボットに質問すれば、その場で解決します」と語ってくれた。
解決策・運営方法
API連携でアンケートエラーやポイント交換状況など、個別の状況に即時回答
需要の高い問い合わせや表記揺れが可視化されることで、自己解決率を高める施策が打てる
サポートチャットボットの導入にあたっては、緻密な要件定義が行われた。特にこだわったのが、API連携によるユーザーの自己解決促進だ。「『アンケートの回答後にポイントが付与されない』『アンケート内のボタンがクリックできない』『アンケートが配信されない』といった問い合わせについては、まずチャットボットでユーザーIDを取得し、ユーザーにアンケート番号を入力してもらいます。その後、複数の情報を突合することで自動返答しています。例えば、当社が配信していないアンケートであればユーザーが番号を間違えている可能性があります。配信済みだがユーザーがアクセスしていない場合は、対象外であることなどが考えられます」と尾崎氏。
また、ポイント交換に関する問い合わせも多く対応できているようだ。「ポイント交換を申し込みましたが、いつ反映されますか」といった問い合わせに対しても、ユーザーのポイント交換履歴とステータスを突合し、自動で返答している。
API連携による自動回答を実現するうえで最も重要なのが、「誰が問い合わせているか」の特定だ。同社では、タグを埋め込むだけで会員IDを取得できるサポートチャットボットの「ID連携」機能を活用することで、ユーザーに手間をかけることなく個別の回答状況を照合する仕組みを構築した。
こうしたAPI連携だけではなく、同社はサポートチャットボットの活用で様々な工夫を凝らしている。その1つが、需要があるにもかかわらず自己解決できていなかった問い合わせの可視化だ。運用を進める中で、ユーザーがエラーメッセージをそのままコピーして貼り付けしたり、「進まない」といった曖昧な言葉で検索したりすることが明らかになった。そこで尾崎氏は類義語の設定を行い、アンケートエラーのAPI連携機能に誘導することで自己解決を図れる環境を構築した。
また、同社は、ユーザーが使う言葉にも注目しているという。「ユーザーは必ずしも当社内で使っている用語で質問するわけではありません。例えば『ポイント交換』というキーワード1つとっても『換金』『振り込み』など、表現は多岐にわたります。実際、『ポイント交換』については、すべてのポイント交換先の名称を類義語として設定しています。これにより、ユーザーが交換先の名前を入力すると、ポイント交換のフローが回答として表示されるように調整しました」と尾崎氏は工夫を教えてくれた。
成果
問い合わせ件数が42.9%削減され、チャットボットで完結できる割合は88%に上る
サポートチャットボットは業務効率化だけでなく、ユーザーの満足度も保ってくれる
サポートチャットボットの導入は、同社に大きな成果をもたらした。月間の問い合わせ件数は導入前の1,456件から831件へと約42.9%削減し、チャットボットで完結した問い合わせは88%に達した。これにより、月間の対応時間は約105時間削減され、以前は3名体制で担っていた業務を現在は1名に集約できるようになった。
これほどまでの工数削減を実現できた背景には、チャットボットのフローの継続的な改善に加えて、必要な情報を事前に収集できることがある。アンケート番号など、問い合わせ時点で必要な情報が揃っていれば、双方のやり取り回数を最小限に抑えられるためだ。
工数削減だけでなく、ユーザー体験の向上という面でも尾崎氏は手応えを感じているという。「システム上のエラーが発生した場合、複数のユーザーから同じ問い合わせを受けることになります。その際、チャットボットであれば一人ひとりに手動でエラーの原因を調べて返信するのではなく、一次対応として即座に回答できます。これはユーザーの不満解消につながります」と尾崎氏は語る。
また、ユーザーの満足度が可視化されるようになったのも大きな変化だという。「以前は返答メールの最後に評価アンケートを設置していました。しかし、すべてのユーザーが回答してくれるものではありません。サポートチャットボットではアンケートなしで、管理画面から解決率などを確認できます。ユーザーの役に立っているかをリアルタイムで把握できるようになったのは、うれしい変化ですね」と尾崎氏は教えてくれた。
レポーティングも手軽にでき、社内共有をする上でも便利。
「infoQ」では、チャットボットのフローの最後にだけ問い合わせフォームを設置しているが、導入当初からユーザーの不満の声はほとんどなく、自然に浸透している状況だ。今後はさらなる活用を進めるために、個人情報に関する問い合わせ以外のすべてをサポートチャットボットで解決できるフローを構築していく方針だという。「これからはログイン関係やパスワードの再設定など、ユーザーがストレスを抱えやすい領域のフローも充実させていきます。チャットボットで即時解決が可能になった一方で、『ユーザーの生の声』が拾いにくくなった側面もあります。チャットボットによる自己解決を促進すると同時に、ユーザーの声を収集できる環境を整えていきたいですね」と、尾崎氏は今後の展望について語ってくれた。