愛着を持って“育成”したチャットボット「アンリちゃん」は返答率90%以上という驚きの結果に
誰でも簡単に操作できる管理画面だからこそ可能にした、そのチャットボット運用術に迫る!

「インターネットを通じて、世界をより良くする。」というミッションを掲げ、2004年に創業したグリー株式会社(以下、グリー)。日本のソーシャル・ネットワーキング・サービスの先駆け的存在で、2007年に世界初となるモバイルソーシャルゲーム「釣り★スタ」をリリースするなど、日本のモバイルインターネットサービスを牽引してきた。現在では、ゲーム・アニメ事業、メタバース事業、DX事業、コマース事業など多彩なサービスを展開している。

さまざまなフィールドで事業を展開する一方、社内で課題となっていたのは、グループ企業全体のITマネジメントにおける情報システム関連の膨大な社内問い合わせ工数だった。ここでは、開発本部情報システム部の伊藤氏、平氏にチャットボットの導入過程から、利用率を高める工夫について詳しくお話を伺っていく。

グリー株式会社 開発本部 情報システム部 ITマネジメントグループ シニアマネージャー 伊藤 仁美 氏 開発本部 情報システム部 ITマネジメントグループ 平 英治 氏
グリー株式会社
開発本部 情報システム部 ITマネジメントグループ
シニアマネージャー 伊藤 仁美 氏
開発本部 情報システム部 ITマネジメントグループ
平 英治 氏

課題

社内ポータルに設置したFAQの利用率向上と、通常業務を圧迫する社内問い合わせ対応の工数削減をミッションに、運用ストレスのかからないツールを求めていた

開発本部情報システム部では、多岐にわたる社内問い合わせに対して、社内申請やシステムのアカウント作成などを担当するITサービスデスクのメンバー(10名~13名)で対応するとともに、社内ポータル上にFAQを設置していた。しかし、FAQの利用率は上がらない一方で、問い合わせ件数は月平均で400~500件にものぼり、通常業務を圧迫していたという。平氏は「当時はFAQの利用率が低く、ユーザーの自己解決率を高めて、社内問い合わせを削減するというのがミッションでした。弊社では、社内でのメインコミュニケーションツールとして使用している『Slack』と連携して活用できるチャットボットの選定を進めていました」と導入前のことを振り返る。

グリー株式会社 開発本部 情報システム部 ITマネジメントグループ 平 英治 氏
グリー株式会社 開発本部 情報システム部 ITマネジメントグループ 平 英治 氏

過去に他のチャットボット製品を利用していたが、管理者側の機能が複雑で、メンテナンスがしきれずに運用を諦めたという苦い経験もあり、製品選定の際はメンテナンスのしやすさ・操作性をマストポイントにした。マニュアルを読まずとも直感的に使える操作性、誰にとってもわかりやすい管理画面や、高品質なデータ分析能力、メンテナンスのしやすさが決め手となり、2022年9月からチャットボットの運用がスタートした。

解決策・運営方法

チャットボットの利用率向上を目指し、親しみやすさを感じるオリジナルキャラクター”アンリちゃん”を設定、チームの一員として“育成”する感覚で運用
使いやすい管理画面によりストレスフリーなメンテナンスが可能に!

管理画面についての印象は「本当に使いやすくて、導入当初からメンテナンスのストレスがありませんでした」と笑顔を見せるのは伊藤氏。「問題解決ランキングで、回答できなかった質問や、多く検索されている単語などが自動抽出されるのでとても便利です。Q&Aの修正ポイントや追加ワードの選定など、メンテナンス時に悩むことがありません。おもに社内問い合わせ対応をしているITサービスデスクのメンバーとは、週次でミーティングを行っています。利用状況などの情報交換をしながら、週に一度はQ&Aの追加・修正などメンテナンスを重ねています」と導入時から現在に至るまでスムーズな運営ができているという。

グリー株式会社 開発本部 情報システム部 ITマネジメントグループ シニアマネージャー 伊藤 仁美 氏
グリー株式会社 開発本部 情報システム部 ITマネジメントグループ
シニアマネージャー 伊藤 仁美 氏

導入当初に工夫したポイントは、チャットボットのキャラクター決めだった。「みなさんに、親しみをもって問い合わせてほしいと考えて、“アンサー”と“リクエスト”の頭文字からアンリちゃんと名付けました。実際に運用を始めてみると“アンリちゃん、元気?”と話しかけてくれることも多くあり、“ゆるふわ”などの口調も選べるユニークな雑談機能を大いに活用しています。より親しみやすいキャラクター付けが進んだのでは」と平氏。

チャットボットの画面
チームメンバーにデザインを依頼したところ、快くキャラクターを作成してくれたという。雑談機能を活用することで「問い合わせへの回答はもちろん、ユーザーからコミュニケーションを積極的に取ってもらうきっかけにもなった。

チャットボットをコミュニケーションツールととらえることで、運用メンバーのモチベーションも向上できる。伊藤氏によれば「週次ミーティングを「アンリちゃん定例」と呼ぶようになり、Q&Aの追加・修正を重なるごとに”アンリちゃん”がしっかりと対応できるようになるので、みんなで育成をする意識でメンテナンスをしています。今ではチームメンバーの一員になったような感覚です」という。

チャットボットの利用率を高めるべく、システム関連の申請ページやマニュアルのトップにも設置した。さらに、ITサービスデスクの問い合わせ受付開始時間には”アンリちゃん”から毎日「ここにいるよ!」という自動メッセージとともに、チャットボット設置ページのリンクを送付、受付終了時間には終業後も24時間でアンリちゃんが対応できることをアナウンスするなどの広報活動も展開している。

利用率を高めるためには、会話履歴のチェックも欠かせないという。ユーザーの動きを一目でチェックできるので「例えば、離脱してしまった会話履歴から、その前後でどんな質問をしていたのか、どんな単語で検索をしていたのかをチェックして、Q&Aの改善に生かしています」と伊藤氏。また、問題解決ランキングや利用者の傾向などのグラフをワンクリックでレポート化できるのも大きな魅力。「週次ミーティング時には、このレポートでチームメンバーと利用状況と問題意識の共有に活用いています。データに疎い人でも、一目で状況がわかる見やすいレポートがワンクリックで簡単に作れてしまうのがとても便利です」(伊藤氏)

新規システムの導入やシステムの仕様変更などのイベントが発生する前にはアンリちゃんのトップにお知らせとして提示。継続して問い合わせがされそうな内容については、メインのシナリオに入れて精度を高めるなどの工夫もしている。「やはり管理画面の使いやすさはとても重要です。”アンリちゃん”に活躍してもらうために、育成(=メンテナンス)に注力できています」(伊藤氏)

成果

運用開始時からの平均返答率は90%以上、解決率は66.8%、シングルサインオン連携で利用率も大幅に改善!
今後はChatGPTを活用したさらなる展望も

育成感覚で細やかなメンテナンスを続けたことで、平均返答率は90%以上、問題解決率は66.8%という結果に対して 「ホントなのかな?と思ってしまうほど高い返答率で驚いています。ただ、会話履歴などの分析をしていくと、”アンリちゃん”への問い合わせによって解決した人が一定数以上いると感じているのも確かです」と 手応えを語る伊藤氏。

2023年6月には、従来の社内ポータルへのチャットボットの設置に加えて、チャットボット単独の専用WEBページもオープンした。このページでは、シングルサインオン*で問い合わせが可能なことから、利用シーンと社内認知が広がり、チャットボットの利用率と会話数が飛躍的に伸びたという。「グン!と増えたユニークユーザー数が、その後も減らずに増え続けていることから、利用者が増えたことを実感しています」(伊藤氏)

*シングルサインオン:シングルサインオン (Single Sign-On, SSO) とは、ユーザーが一度の認証作業(例えば、IDとパスワードの入力)で複数の異なるシステムやアプリケーションへアクセスできる仕組み。

チャットボット利用者(ユニークユーザー)数の月次推移
チャットボット利用者(ユニークユーザー)数の月次推移

また、”アンリちゃん”の会話履歴を分析する中で、伊藤氏は「ユーザーの声をより真剣に考えるようになりました。上司や同僚に相談できなくても、”アンリちゃん”だから伝えやすい、相談しやすいという一面もあるのだと思います。システムのことだけではなく、ユーザーのふとした疑問にお答えしていくことで、働く環境のさらなる改善にも寄与できれば」と話す。

こうした活用の手応えから平氏は「チャットボットを親しみやすいキャラクターにすることで、運用する側はチャットボットを育てる意識をもつことができましたし、ユーザーにとってもさらに愛着をもって問い合わせてもらえればと思っています。今後は、”アンリちゃん”のブログなど、ますます社内認知を進めていきたいと考えています」と語る。

今後の展望について、伊藤氏は、「ChatGPTを社内活用して、さらにアンリちゃんの活用を深めていきたいと考えています。また、ユーザーローカル社のチャットボットはAPI連携機能もあるので、社内のツールと連携しつつ、AIも使いながら楽しいコラボレーションができればいいですね」と語った。

グリー株式会社 開発本部 情報システム部 ITマネジメントグループ シニアマネージャー 伊藤 仁美 氏 開発本部 情報システム部 ITマネジメントグループ 平 英治 氏

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