複雑な「稟議」に関する問い合わせ業務の効率化を目指してチャットボットを導入!平均回答率は96.7%、解決率は8割以上で社員の自己解決に貢献。
1947年設立された大手総合商社『三井物産株式会社』は、国内外に128もの事業拠点を持ち、資源、エネルギー、生活産業にいたるまで、あらゆる分野において商品・サービスの提供を行っている。時代の変化とニーズを捉え、つねに次世代を見据えた事業活動を創造しながら、持続可能な社会の基盤づくりと実現に向けた多岐にわたる商品販売と、それらを支えるロジスティクス、ファイナンス、さらには国際的プロジェクトの構築など、多角的に展開し続けている。
2023年6月には「DX銘柄2023」に選定されるなど、「世界中の未来をつくる」を企業使命に、社内外において“創造と挑戦”を続ける同社において、かねてより社内で大きな課題となっていたのが、新規事業の立ち上げをはじめ、予算関連、社内ルールの調整など多岐にわたる社内決裁に必要な「稟議」に関する問い合わせだ。ここでは、複雑で専門的な稟議に関する問い合わせ対応の自動化を推進したサポートチャットボットの導入事例を紹介していく。
課題
さまざまな意思決定に必要不可欠な稟議制度
年間2,000以上にのぼる膨大な件数に加え、複雑な社内ルールによって発生している稟議に関する問い合わせの非効率は社内全体の大きな課題となっていた
世界を舞台にあらゆる分野で新しい事業を展開するにあたり、必要不可欠なのが社内決裁を進めるための“稟議”だ。同社において、膨大な稟議の件数もさることながら、稟議の仕組みの複雑化による業務の非効率が大きな課題となっていた。三宅氏は「稟議についての問い合わせは、社内ルールが非常に複雑なうえ、案件によっては部署ごとの対応が必要で、問い合わせる側からすれば、何から質問すればよいのかわからないという状態でした。答える側も稟議について詳しい社員ばかりではなくて、かつ確認事項が多いため、問い合わせ工数が多く、しかも判断の根拠が定まらないという課題もありました」と振り返る。
稟議に関するFAQは社内イントラネットで公開していたが、求める回答をなかなか見つけることができないため、FAQを利用せずに直接問い合わせがくることがほとんどだった。別所氏に伺うと「稟議の数はおおよそ年間で2,000件以上あり、案件によって該当する稟議事項も変わるので、内容や社内ルールを確認して、必要な情報を回答するだけでも時間がかかっていました。社内全体で“なんとかしないといけない”という空気感がありました」と話す。そこで、複雑な稟議制度について誰でも簡単に調べることができるような検索ツールの必要性から、今回選ばれたのがユーザーローカル社のサポートチャットボットだった。
「まずは1ヶ月ほど部内でトライアル的に使ってみて、その後3ヶ月ほど他部署の稟議担当者にも実際に使ってもらい、チャットボットの精度を高めていきました」と別所氏。導入にあたって三宅氏は、「最初は100件ほどのQ&Aの登録から初めたのですが、思っていた以上にすんなりと導入できた感覚でした」とスムーズに利用をスタートできた様子を語る。こうして2021年9月より正式に全社導入がされた。
解決策・運営方法
10ページ以上ある稟議規程上の用語を、即時解決できる用語集シナリオに集約!ネーミングの工夫や雑談応答で、親近感を持って質問できるような“遊び心”を効かせた工夫も随所に
稟議については、細かいルール以外にも、部門ごとに様々な領域や業務を担当しているために規程上で取り扱う用語が多岐にわたる点も、複雑さを増している一因だった。「用語を取りまとめた規程もあるのですが、10ページ以上もあり、用語の定義を調べるだけでも非常に大変でした」(別所氏)という。そこで、三井物産では70以上の用語をサポートチャットボットに登録し“用語集”としてチャットボットが用語の意味を解説してくれるような活用もしている。
用語集以外にも、稟議のワークフローシステムや、関連する規程、つねに更新される出状(通達情報)などもQ&Aとして盛り込んでいる。「単語を入力すると、その単語に関連する回答が提示されるAIサジェスト機能もとても便利ですね。質問する側にとっては、キーワードを一つ入力するだけで質問候補が表示されるので、非常に使いやすいです。また、チャットボットの存在によって、管理部門に聞きづらいという心理的なハードルも減りました」と別所氏。
「今まで稟議に関する電話やメールの問い合わせ1件に対して、多くの稟議規程を確認しなければいけなかったが手間が格段に減りましたし、また稟議を審査する側にとっても用語や規程の確認工数がかなり減っているので、稟議に関して煩わしかったことが、確実に改善に繋がっているという手応えを感じています」と三宅氏。
さらに、利用者に親近感をもって使ってもらえるようにと工夫したのが、チャットボットのネーミングだ。別所氏によれば、「字画なども調べつつ、部員みんなで楽しみながら名付けたのが“稟子さん”です(笑)。ブランディングの一つだと捉えて、“好きな食べ物はお好み焼き”などのプロフィールも考えつつ、お正月やバレンタインなど季節ごとの雑談を盛り込むなど、愛着を持ってもらえるように充実させました」という。また、チャットボットの使い方を、「稟子さんの自己紹介」というQ&Aとして登録することで、初めて稟子さんを利用するユーザーにも優しい仕様にしている。
稟子さんをより社内に浸透させるために、利用率向上のための施策も行っている。三宅氏によると「自分のメールの署名欄に稟子さんにアクセスできるページのリンクをつけています。こうすることで、例えば、立ち話の最中に稟議について尋ねられた際、以前だと自分で調べて返答しなければいけなかったところを、今では“メールの署名欄に稟子さんのリンクがあるからアクセスして調べてみて”と伝えるだけで解決するケースがあるんです。断然楽になりましたね」と話す。このような工夫もあり徐々に社内に浸透してきたのか「経営幹部からも“稟子さん、最近元気?”と気にかけていただいたことがあります(笑)。」と別所氏。今までのFAQだと“どこに回答があるのか”を調べなければいけない煩わしさがあったが、稟子さんがいるおかげで求めている回答結果をダイレクトに教えてくれるので、気軽に質問しやすいだけでなく、質問者の自己解決の促進にも貢献している。
成果
複雑で専門性の高い稟議という分野ながら、平均回答率は96.7%、解決率は8割以上と高水準を維持!稟議を申請する側、審査する側の双方の工数削減に貢献
稟子さんには、稟議に関して専門性が高い内容を多岐にわたって登録するなかでも、平均回答率は96.7%、解決率も8割以上という高水準を維持している。また、ガイダンスや新人研修などで稟子さんの紹介も行うことで、約半年で利用率はおよそ2倍増も達成している。三宅氏は「用語集などの簡単な質問は勿論、規程やルールを手軽に調べられるようになったので、稟議を審査する側の手間も格段に省くことができました。今では稟子さんがいないと本当に不便ですね…」と笑顔を見せる。
今後の展望について伺うと、別所氏は「稟子さんの回答内容から対象となる資料へリンクさせる導線にしているのですが、すべての紐づけができていないので、こういった不足を補いながら、さらに使いやすく愛着がある稟子さんに強化していきたいと考えています。 また、サポートチャットボットの使い勝手の良さ、便利さを実感できているので、今後は、ユーザーローカル社さんと相談しながら“稟議でやりたいこと”から逆引きできるような活用方法も検討していきたいですね」と語る。三宅氏は「サポートチャットボットの可能性をとても感じているので、今後はChatGPTとの連携機能も活用して、より良い使い方ができないか弊社でも研究を進めていこうと思います。」という。
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