チャットボットによって学生の“どこへ聞けばいいかわからない”を解消!これまで部署間でバラバラだったFAQが集約!“部署間の架け橋的存在”に!入学シーズンには1日200件をチャットボットで自動対応し回答率98%を実現!

大阪府茨木市にキャンパスを置く『追手門学院大学』は、6学部3研究科1機構に学部7916人、研究科70人(2021年5月現在)の学生が在籍。2018年には学院創立130周年を機に、主体的に学び、授業をはじめ学内外で実施される様々な活動を通して、協同して問題解決に当たる独自の学修プログラム「WIL(Work-Is-Learning)」をスタート。行動(Work)を通じて学修(Learning)し、即実践に反映する経験を蓄積することで、予測困難な状況の中でも行動しながら学び続ける力を養うというものだ。このような教学改革を展開する同校では、2021年まで入試志願者数が8年連続で増加するなど注目を集めている。

『追手門学院大学』でかねてより課題となっていたのが、学生と大学をつなぐ窓口業務だった。キャンパスにはいくつもの部署があり、“授業や単位に関しては教務課”、“学生生活に関しては学生支援課”、といったように学生が問い合わせたい内容によって窓口が異なることで、担当部署がわからなくて迷ってしまうことが多く、学生にとっても案内する職員にとっても負担が大きかった。こうした課題解決を求めて2021年4月に運用スタートしたのがサポートチャットボットだ。導入のノウハウから学生に寄り添った窓口対応を強力にサポートする同校での活用方法などを伺った。

追手門学院大学
図書・情報メディア部 情報メディア課 安井 氏
図書・情報メディア部 情報メディア課 岡野 氏

課題

学内に問い合わせ窓口が複数あることで、学生の“たらい回し”ケースが数多く発生!コロナ禍で迎えた入学シーズンには窓口がパンク状態に!

時代の変化に即した学修スタイルで注目を集める『追手門学院大学』にとって、学生と大学をつなぐ窓口対応は大きな役割を担っている。これまでは主に担当部署窓口か電話・メールでの問い合わせ対応だったが、学生が担当部署ではない窓口に来てしまう、異なる部署に電話がかかってきてしまうなどのケースが多く、特に新入生対応に追われる4月は、電話が繋がらないこともあったという。安井氏は「学生さんを待たせてしまう上に、職員にとっても窓口の案内や電話の転送などで大きな負担になっていました。特に2020年の新型コロナウイルス拡大時は1年で最も繁忙する入学シーズンと重なり、情報メディア課の電話がパンク状態でした。パソコン設定についての電話が鳴り続けている状態で、かなり待たせてしまっていたと思います」と当時を振り返る。

こうしたよくある問い合わせについてはFAQをホームページに掲載しているものの、なかなか活用されず、学生にとってもっと簡単に自己解決してもらえる方法を求めてチャットボット導入の検討を始めた。お手軽にスタートできる費用面と、プログラミングがわからなくても直感的に使える運用面、そして、学生にとっての使いやすさを考慮して選んだのがサポートチャットボットだった。「機能も豊富で、学内で多くの人に“使いやすいし、使ってもらいやすい”と思えました」と安井氏は語る。

解決策・運営方法

まずは担当部署でスモールスタート。作成したチャットボットを実際に他部署のスタッフに使ってもらうことで、使いやすさが好評となり学内全体で続々と導入!

まずは、図書館の利用方法とパソコンやシステムについての問い合わせを担当する図書・情報メディア部での導入を決定した。窓口対応を担当する職員をメンバーに、話し合いながらFAQを作成した。もっとも悩んだのは質問のカテゴリー分けだったという。「学生さんが回答にたどり着きやすいカテゴリーのキーワードを生み出すまでは悩み抜きました。課の新旧メンバーが一緒になって考えることで、困りごとと回答がイメージできるようなキーワードを見つけ出していけたと思います」と安井氏。こうした過程で、安井氏はFAQ作成のポイントをまとめた“手引き書”を作成した。「運用がしやすくて、Q&Aの作り方さえしっかりしておけば、学生さんにも使ってもらえるツールなので、問い合わせ対応で困っている他部署にも勧めたいと考えていました。実際に図書・情報メディア部で作成したチャットボットと“手引き書”を使って各部署の職員にプレゼンをすると、“使いやすい”と好評でした。」と安井氏。各部署でも一気に導入が進んだ。部署ごとにFAQを作成してはホームページや学生ポータルサイトに掲載していたが、学生が見つけられないことも多く、チャットボットに集約することにより今まで見られていなかったFAQが陽の目を見ることができたと実感している。

膨大な質問の中から求めている回答を探すのは学生にとって困難である。チャットボットが機能することで、FAQを有効に使える一例だ。

では、運用するための管理画面の使い勝手はどうだろう? サポートチャットボットの運用担当・岡野氏は「ITに詳しくない人でも、マニュアルを使わずに操作することができるというのが正直な感想です。見たいデータの項目をクリックすることで、ビジュアル的にわかりやすいデータとして抽出できるので、煩わしい作業は必要ありません。管理画面上でわからないことがでてくると、管理画面用のチャットボットが設置されてあり、そこで解決できるので安心して使えます」と、使いやすさを説明してくれた。また、安井氏は「自動作成してくれるレポート画面がすごく見やすいですね!時間帯や曜日、期間をワンクリックで設定できるので、求めているデータの抽出がすごく楽なんです」と大きな手応えを感じているという。「報告書も管理画面で作成されたレポート画面をそのままプリントして利用できる効率化は計り知れないです」(安井氏)

情報メディア課では、今後の運用を見据えて管理者としてチャットボットを操作できる人を増やす考えだったという。「ユーザーローカルの担当者に相談したところ、管理者向けの説明会をしていただきました。とても丁寧で親切な説明会で、疑問点もすぐに解消してもらえたので、1度の説明会で運用できるメンバーも増えました」とは岡野氏。こうした将来を見据えた手厚いサポートもまた同社の大きな魅力だ。

成果

学生の“たらい回し”ケースが減り、回答率も98%と高水準!チャットボットのメンテナンスを行うことで業務のスリム化という付加成果も!

本校ではおよそ3ヶ月の準備期間を経て2021年4月にチャットボット運用をスタート。学生ポータルサイトにチャットボットを設置し認知を図ったところ、入学シーズンなどの繁忙期には1日に200件ほどがチャットボットで自動対応、回答率は導入からおよそ半年で98%という高水準に!「当初は回答に“詳しくは窓口まで”、“電話で問い合わせてください”といった回答も多かったのですが、管理画面でレポートを確認すると解決できていないことがわかりました。そこから“回答を詳しく明記する”、“URLを貼り付ける”などの工夫を重ね解決率向上に繋がりました。レポートが見やすく的確なので、修正ポイントが明確にわかります」。と岡野氏。

また、「深夜や土日といった窓口が開いていない時間帯にチャットボットを利用している学生さんが多いということもわかり、業務時間外でも対応できている効果を実感しました。また、他課への問い合わせに対しても、職員がチャットボットで確認して解決できるようになりました。加えて“チャットボットに掲載していますよ”と伝えることで解決できることもあり、従来であれば担当部署がわからなくて迷ってしまい、案内する職員の負担も大きく なっていたようなケースは減少したと感じています。学生さんへの認知が広がれば、さらなる問い合わせ数減少に繋がると感じています」と岡野氏は手応えを力強く語る。

「情報が古くならないためにこまめなメンテナンスが重要」と話す安井氏は、「メンテナンスの際には、問い合わせ対応をするメンバーの声を取り入れつつ、チャットボットの会話フローも整理。その作業をこまめに行うことで、対応業務のムダがあったことにも気づきました。チャットボットのブラッシュアップを行うことで、業務の見直しやスリム化にもつながっています」と、意外なところでの効果も感じているという。

学生からの発案からチャットボットのアイコン“チャボ”が誕生。よりチャットボットに愛着が感じられるようになったという。

運用を開始後に情報メディア課でアルバイトをする学生にアイコン・デザインを募ったところ、複数のアイデアが集まり“チャボ”というキャラクターに。「学生の意見を聞きながら楽しく運用していきたいと考えています。今後は、チャボのキャラクターも作り上げていきたいですね。こうしたキャラクターは大学にとって新しい価値・財産になると感じています」と岡野氏。安井氏は「導入時から、遊び心をもってチャットボットを構築・運用してきたように思います。チャットボットに大学内のFAQが集約されたことで、“チャボ”が各部署間の架け橋的な存在になった、とも感じています。各部署との深まった協力関係を今後も引き続き連携しながら、いろんな工夫や仕掛けをしていきたいですね」と今後の展望を語った。

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