月5万件以上の問い合わせが殺到する年末調整時期の問い合わせを55%削減!対応品質の向上に加えて、3密を避ける感染防止策としても効果を発揮。

人材総合サービスを全国に展開する株式会社スタッフサービス・ホールディングス(以下、スタッフサービス)。日本最大級の求人数を誇り、事務職、技術者、ITエンジニア、医療・介護、製造といった幅広いフィールドで、業界トップクラスの就業機会とジョブバリエーションを提供している。

同社のサービスを通して就業している派遣スタッフは8万人以上。課題となっていたのは、平常時は月におよそ2万件発生するという給与や保険等に関する各種問い合わせへの対応だった。特に年末には、従来の問い合わせに加えて年末調整関連の問い合わせも増加し、合計5万件以上も殺到していたため、その対策が急務となっていた。こうした状況で導入されたのがサポートチャットボット。導入直後から成果を出したというサポートチャットボット活用事例を紹介していく。

課題

年末調整関連の問い合わせは月に5万件以上が殺到。対応品質の向上と、3密を避ける感染防止対策が急務に。

全国の8万人を超える派遣スタッフへのバックヤード業務支援を行う同社は、平常時で月に2万件という膨大な各種事務手続きなどの問い合わせ対応をしている。さらに、問い合わせが殺到するのが年末調整時期で、月に5万件(うち年末調整関連の問い合わせだけで3万件以上)を超える問い合わせが殺到していた。

それまでの対策として、繁忙前にウェブサイト上で年末調整関連のQ&Aを公開し、加えて派遣スタッフへは郵送で年末調整に関する案内の送付も行っていたが、問い合わせ数を削減するまでに至らなかった。

そこで、2020年の年末調整に向けて、チャットボットの導入を検討し始めた。年末調整システムへのログイン方法や、保険料の控除書類といった基本的な質問が殺到していたため、チャットボットで自己解決できるのではと提案した。また、新型コロナウイルスの感染防止対策として、3密を防止する観点からも、電話対応スタッフ増員を避ける必要があった。

導入にあたって重視されたのは、システムに詳しくない担当者でも使い勝手がよく、特別なスキルがなくてもQ&Aの修正や反映といったメンテナンスが簡単にできるという点。そして導入コストを抑えつつ一定の効果が見込める点から、ユーザーローカルのサポートチャットボットの採用を決定した。また、ゆくゆくは年末調整関連以外の問い合わせに対しても拡張していく見通しが立てられるという点も提案した。

解決策・運営方法

手厚いサポートでサポートチャットボットの理解を深めた上で導入。即時に対応・修正ができる使いやすさが運用する上で大きな魅力に。

サポートチャットボット導入にあたっては、既存のQ&Aを元に内容を修正・調整し、チャット階層の構想を立てた上でチャットボット用のQ&Aを作成。その際に、ユーザーローカルの担当者による説明会で運用にあたっての理解を深めることができ、スムーズに導入を実施できた。本番実装前には、問い合わせ対応担当者からの意見も盛り込むことでQ&Aをスリム化し、より的確なチャットボットを構築できた。質問内容のスリム化のポイントは選択肢型と一問一答型の使い分けにもあったという。問い合わせが少なそうな質問に関しては一問一答にするなどの調整を行い、利用者が質問から回答へとたどり着きやすい工夫を施した。

より多くの人に活用してもらうべく、派遣登録者専用のマイページ上にチャットボットを設置。また、メールで問い合わせがあった際にはサポートチャットボットの活用を促すアナウンスを展開し周知した。

チャットボットのキャラクターは、社員からデザインを募り、いくつかの候補の中から“年末調整”をモチーフにデザインされた「ねんチョウちゃん」を採用。表情の変化も工夫することで愛着のあるアイコンが出来上がった。

「ねんチョウちゃん」

導入後、表現や内容の修正や調整が必要な際、導入企業内で対応ができることはポイントの一つである。問い合わせ対応が激増する繁忙期でも即時反映ができ、スムーズな運営ができるような仕組みになっている。また、誰でも簡単に扱える操作性から、運営者を属人させることなくチャットボット担当の引継ぎもスムーズに行えることも魅力の一つである。

成果

繁忙期である年末調整時期の電話問い合わせを前年比で55%削減!年末調整対象者の派遣スタッフが24時間いつでも、一般的な回答なら自ら回答を得ることができた。年末調整以外の事務作業にも人員を充てることができた。

サポートチャットボットは年末調整が本格化する前の11月2日から導入した。その結果として、11月と12月で各月ともに電話問い合わせ数が約55%削減という効果をあげることができた。また、年末年始には年末調整以外の更新書類などに関する問い合わせも増加するが、電話対応工数が削減されたことで、こうした事務作業への対応へ人員を充てられるという効果もあった。運用を通して、問い合わせフォームに寄せられた質問からQ&Aに盛り込むヒントを見つけたり、少ないと思っていた質問に閲覧が集中したりするなど、様々な角度から分析できることも魅力である。

サポートチャットボットは24時間対応できるため、時間外の問い合わせに対応できるようになったのも大きい。また、同社では1年を通して問い合わせが多いため、今後は年間を通して対応できる分野でのサポートチャットボットの活用を進めていく予定になっている。

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