『東急ストア ネットスーパー』のさらなる利便性向上を目指してチャットボットを導入!
コールセンターへの問い合わせ内容とチャットボットの会話ログの両方のデータを活用する相乗効果で、お客さまに寄り添ったサポートを実現!
回答率は98%、解決率も60%をキープと高い水準で運用する活用方法を紹介

1918年、渋沢栄一を発起人として創立した『田園都市株式会社』を源流に、1922年に『目黒蒲田電鉄株式会社』を設立。以来、鉄道路線・バス路線網の拡大とともに、公共交通機関と都市開発を両軸に東急線沿線を中心とした未来志向の「まちづくり」を展開する『東急株式会社』。現在では、交通事業、不動産事業、生活サービス事業、ホテル・リゾート事業を中心に、より快適な暮らしを安心・安全に支えながらエリア価値を高める“美しい生活環境”を創造し続けている。

今回は、東急沿線を中心に展開する『東急ストア』のネットスーパー『東急ストアネットスーパー』でのサポートチャットボット導入事例を紹介。ネットスーパーに慣れない人がまだ多い中、サービスの利便性を高め、お客さまの不安を払拭し、購買へとつなげるためのサポートチャットボット活用法について、リテール戦略グループのお二人にお話を伺った。

東急株式会社
東急株式会社
リテール事業部 リテール戦略グループ
戦略担当 主査 恵木 基之 氏
戦略担当 主事 亀谷 祐輝 氏

課題

『東急ストアネットスーパー』の認知をさらに広め、ネットスーパーの利用に慣れないお客さまの疑問を即座に解決したい!
使いやすさと低価格、そして個人情報を慎重に取り扱える点が決め手となり、サポートチャットボットを導入!

『東急ストア』は東急線沿線エリアを中心に90店舗(2023年3月現在)を展開する、生鮮食品から日用品まで取りそろうスーパーマーケットチェーン。2009年10月にネットスーパーを開設、オンラインで手軽に購入でき、さらに専門スタッフがピックアップから配送まで手掛ける人気サービスだ。その一方で、ネットスーパーは、まだまだ認知がされておらず、利用方法や案内情報の拡充も必要と感じていたのだという。こうした課題について恵木氏は「“ネットスーパーってなに?”というお客さまが多く、初めてご利用してくださったお客さまへのご案内が足りていないという課題がありました。ネットスーパー開設以来使ってきたECシステムの改修、プログラム修正を行うことも難しい中、解決方法を探っていたところ、ユーザーローカル社のサポートチャットボットを知り、お客さまの疑問にお答えできるツールは“まさにこれだ!”と導入を決定いたしました」と語る。

東急株式会社 リテール事業部 リテール戦略グループ 戦略担当 主査 恵木 基之 氏
東急株式会社 リテール事業部 リテール戦略グループ 戦略担当 主査 恵木 基之 氏

「『東急ストアネットスーパー』は、弊社グループが運営している東急カードのポイントの活用方法や、決済方法によって配送料が割引になるサービスなど、WEBサイト上のご説明だけではわかりづらいことも多いうえ、一般的なECと異なりお客さまにとって馴染みのない操作もあります。こうした直感的な使いづらさも課題として感じていました。そこで、利用方法や素朴な疑問をWEBサイト上で即時解決できれば、ご購入いただくまでの心理的なハードルも下がるのでは、という期待感も大きかったですね」と亀谷氏は語る。

東急株式会社 リテール事業部 リテール戦略グループ 戦略担当 主事 亀谷 祐輝 氏
東急株式会社 リテール事業部 リテール戦略グループ 戦略担当 主事 亀谷 祐輝 氏

サポートチャットボット導入の決め手は、「“使いやすさ”と“導入費用の安さ”、そして個人情報を慎重に取り扱える点だった」と恵木氏。ユーザーローカル社のサポートチャットボットでは、ユーザーが直接入力するフォームや会話履歴などに記された個人情報を、AI解析によって抽出し削除することが可能。「これはとても大きな特徴で、弊社の個人情報のお取り扱いの考え方、コンプライアンスにも則して活用できると考えました。また、お客さまにとっても、運用側にとっても直感的に扱える操作性は大きな魅力でしたね。導入行程も、当時利用していたECシステムにタグの埋め込みのみでQ&Aシナリオを連動させることができ、またサポートも手厚くいただけたのでとてもスムーズでした」と、2021年12月23日より運用をスタートした。

東急ストアネットスーパー
2023年1月には『東急ストアネットスーパー』サイトを全面リニューアル。
その際のサポートチャットボットの移行作業は1時間ほどで行うことができたという。

解決策・運営方法

直感的で簡単な管理画面の操作性が、日々の運用を手軽に! 電話問い合わせの内容とチャットボットでの会話ログから、お客さまのニーズをより深く探り、Q&Aシナリオの改修に活かす活用方法も

運用において、管理画面での各種レポート機能が充実していて、ワンクリックで必要な情報にアクセスできる点が大きな魅力。こうした使いやすさから「利用統計と問題解決ランキング、未解決の会話履歴は、毎日チェックしています」と話すのは恵木氏。

「問題解決ランキングと未解決となっている会話履歴を確認していくと、未解決の多いQ&Aシナリオにおいて、お客さまの“最初の問い合わせは何だったのか?”、“どこで離脱してしまったのか”などが具体的に仮定できます。運用スタートから2か月ほどは毎日のようにQ&Aの追加・修正を行いました。こうした作業工程で、以前よりもお客さまの疑問点や、ネットスーパーに求めているものへの理解も深めることができると感じています」とユーザーに寄り添ったチューニングを行っているという。

日々の問い合わせの傾向を探るため、キーワード自動抽出機能も活用している。「お問い合わせの中から使用頻度の高いキーワードは大きな文字で表示。ポジ・ネガなどの色分けもされているので、普段と違うワードが増えた時の違和感や気づきに直結しますし、何かの不具合が発生した際の対応もスピード感をもってできるようになりました」とは亀谷氏。

同社では、こうしたサポートチャットボットから得られるデータとともに、コールセンターに届く声のチェックも欠かせないという。恵木氏は「たとえば、電話に届いたお問い合わせ内容と、自動抽出機能や会話履歴などを比較し、お問い合わせ内容の傾向から気づいた点の事実把握をする、などに役立てています。会話履歴や未解決ログなどを分析することで、お問い合わせのより潜在的な部分を探ることもできるのではと感じています」とさらなる活用への期待感も。

実際にあった例では、お客さまから「ネットスーパーで商品検索まで進めない」という電話の問い合わせがあった際に、チャットボットにも「カテゴリが開けない」といった同様の問い合わせがあったという。そこで、チャットボットの会話履歴を詳しく確認したところ、アクセスしているブラウザ等の情報からiPhoneユーザーであることがわかり、iOSのバージョンが原因で起きている不具合である可能性が高そうという仮説が立てられた。その後、チャットボットの目立つところに、iPhoneユーザーに対して、iOSのバージョンによってサイトの一部機能を利用できないおそれがあることや、アップデートをして試すように促すQ&Aを追加して対処したということがあった。コールセンターとチャットボット、それぞれに集まるお客さまの声をいかして、スピーディーなサポートができた好例だ。

成果

ユーザーの要望を反映しやすいサポートチャットボットだからこそ、回答率は98%! 解決率も約60%と高水準をキープ! コールセンタースタッフのラーニング、自己解決率向上にも効果が!

『東急ストアネットスーパー』で買い物をするお客さまに向けて、サイトの使いづらさやサービスのわかりづらさの解消を目指してサポートチャットボットを導入してから2年ほどが経つが、回答率は98%という非常に高水準をキープしており、解決率も2023年8月で約60%という大きな成果を得ている。チャットボットの利用者数も右肩上がりで増加しており、「これまで、使いづらいがためにご購入に至らなかったお客さまや、初めてネットスーパーへご訪問いただいたにもかかわらず離脱されてしまったお客さまに対して、チャットボットでご案内ができるようになり、お買い物の後押しもできるようになってきたのでは、と手ごたえを感じています」とは亀谷氏。

さらに「コールセンターのスタッフがチャットボットを参照して回答してくださるケースも増えています。コールセンターでも即解決できる質問ばかりではないので、こうした活用から、スタッフの教育、自己解決率向上や回答時間の削減といった効果も感じています」とも語る亀谷氏は、加えて、24時間対応も大きなポイントに挙げる。「コールセンターの営業時間外にお問い合わせをいただくお客さまも多くいます。その際、窓口が営業終了していると、やはり購買意欲が削がれてしまいますので、24時間即時対応できるというのは大きな強みです」

最後に今後の展望について、恵木氏に伺った。「お客さまにご負担をかけずに必要な情報をご提供するためにも、さらにサポートチャットボットの活用を深めながら、ネットスーパーを使っていただき、リピートしてくださるきっかけの後押しになればと考えています。今後注目しているのはサポートチャットボットに搭載されているChatGPT機能です。回答文の案文作成や、未解決の多い回答に対しての改善案を自動生成できるなど便利な活用法があるので、今後はこうした機能も使っていければと考えています」

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