店舗スタッフからの問い合わせ対応にかかっていた時間を約93%削減!
スタッフに浸透しづらい会則やルールの認識統一にも効果を発揮した。
全国に100店舗以上のヨガ・ピラティスの専門スタジオ『zen place』を運営する『株式会社ZEN PLACE』(以下、『ZEN PLACE』)。40年の歴史をもつヨガスタジオ『yogaworks』や世界最大規模のピラティス団体『BASI ピラティス』といった団体とライセンス契約を結び、各種ワークショップや質の高いインストラクター養成も展開している。また、最新サイエンスとテクノロジーを取り入れたサービスにも注力しており、アプリ事業や動画ポータルサイト『ZEN PLACEオンライン』なども人気を集めている。
『ZEN PLACE』では、ヨガ・ピラティスのスタジオ運営に加え、訪問看護ステーションやリハビリデイサービス、クリニックなどの運営も行う。また、がん患者向けのヨガプログラム『Yoga For Cancer(Y4C)』とライセンス契約したインストラクター養成コースの提供など、予防医療やヘルスケア事業も見据えた総合健康サービスも提供している。
そんな中で課題として浮上していたのが、スタジオ運営の効率化と顧客満足度の向上だった。100店舗以上あるスタジオとの膨大な連絡事項に忙殺されていた『ZEN PLACE』が、サポートチャットボットの導入によってどのように改善されたのか。導入背景、効果とともに紹介していく。
課題
スタジオスタッフからの膨大な問い合わせで本業務が停滞。
回答内容に統一性が取れず、サービス品質の低下も懸念されていた。
全国でスタジオ展開するヨガ・ピラティスのスタジオの運営業務を本社で担当する中村氏。業務内容は、スタジオ運営の施策、インストラクターの働きやすい環境整備、新人インストラクターへの研修担当など多岐にわたる。しかし、本業務以上に時間を費やしていたのは、全国100店舗以上のスタジオに約500人いるインストラクター(スタジオスタッフ)からの問い合わせ対応だったという。当初は部署のメンバー5人が電話、チャットツールで対応にあたっていたが、勤務時間で業務が終わることはほとんどなかったという。
「各スタジオから集中する同じような質問は“レギュラー案件”と呼んでいたのですが、そのほとんどは、入会や休会などクライアント(会員のお客さま)の会則やルールに関わるものでした。会則やルールは変わることも多く、スタジオスタッフにルール変更の周知が行き届いていないために回答にバラつきがでてしまうことも。これでは顧客サービスの品質・満足度にも影響すると感じていました」とは中村氏。もう一方で、各スタジオではインストラクターがお客さま対応に加えて新人スタッフの育成も担当しているため、育成・教育関連の問い合わせも増え続けていたという。「インストラクターが新人スタッフの育成に時間を取られてしまうことでスタジオの稼働率が下がってしまうことも課題でした。運営事業部では問い合わせに忙殺されてしまい、スタジオの環境整備に当てる時間が取れない…といった悪循環に陥っていました」(中村氏、以下同)とも。問い合わせの削減に加え、会則やルールの認知レベルを統一し、誰もが同じように回答できる仕組みづくりも急務となる中、チャットボットの採用検討を開始した。
「複数のチャットボットを比較していく中で、価格帯とAPI連携のしやすさ、AI機能などで絞り込みました。その中で決め手となったのは“運用サイドの使いやすさと誰もが見やすいデザイン性”でした。一人の担当者がずっと作業をするわけではないので、誰でも扱えてかつ後任へ引き継ぎやすいシステムを探していたんです。ユーザーローカルのサポートチャットボットは、数値データの流れがまるで絵のように動くので、データ分析が楽しくなるツールでした。サポートチャットボットの導入は弊社としてDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の一環としても期待されており、データ分析が苦手な私にとっては大きなプレッシャーでした(苦笑)。でも、サポートチャットボットの使いやすさがプレッシャーを軽くしてくれたと感じています」。
解決策・運営方法
導入時の業務整理を丁寧に行うことで、あいまいだったルールの改善にも一役。
導入にあたっては、「スタジオ運営」「総務・経理用」の内容をチャットボット化していった。中村氏は導入する前に、それぞれの部署ごとに業務整理を丁寧に行ったという。「質問内容をカテゴリーごとに整理し、さらに関連する質問内容を追加していきました。回答を各部署に確認してもらう中で、あいまいだったルールを改善するきっかけになるなど、副次的要素もありました」。
そして、チャットボットの構築にあたってはユーザーローカルのサポートが欠かせなかったとも。「シナリオの作成前に必要なものや機能説明を細かく相談させていただいたのですが、その都度、工夫や注意点を丁寧にアドバイスしてくださったので、効率よく的確にシナリオを構築できたと思います」。
サポートチャットボットのアイコンには、ZEN PLACEのロゴマークをモチーフにした表情のあるものに。「表情があると会話しているような感覚になり、親しみやすく使ってもらえるのでは、と考えました」と中村氏。また回答内容には「ルールの解説に終止するだけでなく、目的と理由を書くことで“なぜこのルールが必要なのか?”という理解が深まり、正しく認識してもらいながら浸透できていると感じています。」とも。こういった工夫を盛り込むことで、「親しみながら内容の理解を深めることのできるチャットボット」が構築できた。
また、定期的なお知らせの発信にも活用。「『今月のお知らせ』というカテゴリーをトップ画面に設置し、今月の会議日程や月替りのキャンペーン情報など、スケジュールや予定を周知するようにしました。それまで使用していたツールでは最新情報を更新してもアラーム機能がなかったため見落とされてしまうこともしばしばあったのですが、毎日目を通す画面に最新のお知らせがあると必ず見てもらえます」。
成果
問い合わせ対応にかかっていた時間を約93%削減と効果は絶大!
スタッフに浸透しづらい会則やルールの認識統一にも効果を発揮した。
サポートチャットボットの導入後、利用者数は順調に伸びており、ほとんどのスタジオスタッフにチャットボット利用が浸透しているという。高い利用率に加えて97%以上という高い回答率を保っており、各スタジオから集中していた同じような質問内容は激減した。
それまで月におよそ229件あった問い合わせ件数は40件に激減。さらに問い合わせ対応にかかっていた時間は33時間から2時間15分と93%の削減に成功!
周知が済んだ『zen place pilates by basipilates』というブランドに関しては、ほぼ100%定形のお問い合わせがなくなったというが、さらに、減らすことはできないと考えていたイレギュラーな問い合わせ内容も55件(約66時間)から35件(21時間)と68%も削減した。「これまでイレギュラーだと考えていた問い合わせ内容を分析すると、スタジオスタッフが正しくルールを知っていればその場でお答えできるものも一定数あることがわかったんです。スタッフの会則やルールの認識統一が進めば、さらに削減できると感じています」。
新人スタッフの育成・教育にもサポートチャットボットを活用。「研修ツールと連携して、サポートチャットボットで研修情報をお知らせするなど、より幅広く活用できる手応えを感じています」とスタッフ教育や研修での活用にも大きな手応えを感じているという。
また、スタジオ運営用の内容だけでなく、総務・経理に関する、スタジオから郵送する際の連絡先の問い合わせや、備品購入時の問い合わせ、器具の不具合の対処法といった質問にも対応。こうしたよくある問い合わせ数は総務部で38%減、経理部で25%減となり、サポートチャットボットが実務をカバー。業務改善に大きな役割を果たしているという。
これらの結果を受け、中村氏は「本業務や新規プロジェクトにかける時間を作れるようになったのは大きな成果ですね。現在も社員同士で作業効率化を見込めるアイデアなどの意見交換をしており、まだまだDX推進をできると感じています。今後は、他部署でも導入して、よりスムーズな問題解決を図れるようにしていきたいと考えています。社内での運用を深めていく中で、将来的には会員様向けと新規のお客さま向けのサポートチャットボットの導入も検討したいと考えています」と今後の展望を語る。
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