2022年日本のチャットボット市場予測は132億円!
急成長する7つの理由とは?

 AIを使ったサービスが、普及している中、最もAIらしいサービスといえば、対話型AIを使ったチャットボットではないでしょうか?下記のグラフをご覧ください。

国内の対話型AIシステム市場規模推移と予測

2016年にマイクロソフトやFacebookなどの大手が、次々とチャットボットプラットフォームを発表し、2017年度のチャットボットの市場は11億円でしたが、2020年度は約10倍の87億円にまで、急激に成長することが矢野経済研究所の調査結果として発表されております。では、なぜこのようにチャットボット市場が急激に成長することが、予想されているのでしょうか?それには7つの理由があります。

理由1:2025年、日本の生産人口が
ピークの1995年より1600万人も減る!

まずは、下記の総務省が発表している「我が国の人口の推移」をご覧ください。

積み上げグラフの緑の部分が15歳〜64歳のいわゆる労働人口といわれる年代です。こちらをみると1995年のピーク時には8716万人だったにもかかわらず、2025年には7085万人と、約1600万人も減少しています。

一方で、65歳以上の非労働人口は、約1800万人も増えております。実は電話問い合わせを行う人の40%以上が、高齢者であるというデータがありますから、問い合わせを対応するスタッフの人数は少なる反面、問い合わせを行う人が増えるという構図になることが理解できます。つまり今後の日本は以下の3つの事態になることが想像できます。

1. スタッフ採用が難しくなる
2. 採用コストの増加
3. 65歳以上の非労働者人口増加による、問い合わせの増加

こういった背景を考えると、チャットボットを導入し、問い合わせ対応を代替する動きがでてくるのは、必然と言えます。

理由2:政府主導の「働き方改革」により
企業には労働生産性の向上が求められる

日本の総人口は、2105年には4500万人まで減少すると予想されており、深刻な労働力不足に陥ります。こういった背景があり、2016年に発表された、「働き方改革」は、労働力不足解消の実現に向けた改革です。その骨子は3つあります。

1. 働き手を増やす
2. 出生率の上昇
3. 労働生産性の向上

企業の視点で考えると、今後の日本では労働力の確保は、かなり難しくなっていきます。そのために、少ない人数で多くの成果を出せるように、仕組みを変えていく必要があり、そこで注目されているのがAI技術を使ったチャットボットです。

すでに、企業の中にはチャットボットを導入することで、労働生産性の向上に取り組んでいる企業があり、チャットボットのなどのAIの普及は、遠い未来の話では決してないのです。

理由3:企業で進むAI・自動化の波

企業側も、日本の労働人口が減っていくのを、ただ待っているわけではありません。積極的に労働生産性向上のため、AIを取り入れた業務の自動化に積極的です。その大きな例となるのが、2017年のメガバンク3行が10年間で、3万分の業務削減を行うことに踏み込んだことです。

今まで日本のメガバンクは、こういった自動化には積極的とは言えない業界でしたが、昨今のゼロ金利政策の影響で利益を出しづらい銀行業界が、自動化により経費を削減し、収益確保するために自動化に踏み込みました。銀行だけではなく、日本のあらゆる産業では、人口減少により国内のモノやサービスの需要が減り、収益を出すことは難しくなってくるため、企業がAI導入による自動化を進んでいくことになります。そのため、限られた人材の働き口は、今後、人間でしか行えない、あるいは自動化が及ばない業務に集中し、問い合わせ対応などは、チャットボット等のAIに移行していくことでしょう。

理由4:LINEやFacebookなど大手が
次々とチャットボット開発プラットフォームを提供

チャットのソフトウェアサービスを行っている大手が次々と、チャットボットの開発プラットフォームを提供していることも、チャットボットが普及する大きな要因の一つです。

2016年3月 マイクロソフトがSkype Bot Platformを発表
2016年4月 FacebookがMessenger Platformを発表
2016年9月 LINEがMessaging APIを正式リリース
2016年10月 IBMがWatson Conversation 連携ミドルウェアプラグインの提供開始を発表
2016年11月 マイクロソフトがAzure Bot Serviceのプレビューを公開

これにより、多くの人が自分でチャットボット(chatbot)を構築する環境が整備されたという、いわばチャットボットのエコシステムが誕生したという点に特徴があります。そして2017年にはGoogleから「Google アシスタント」のリリース、および「Google Home」の国内販売が開始され、Amazonは日本語に対応した「Alexa」を搭載した「Echo」シリーズの国内販売を開始しました。2018年になると、もはやチャットボットの活用は当たり前になり、顧客サポートや企業内の問い合わせ対応業務の効率化を目的とした利用を中心に、急速に普及が進んでいます。

理由5:社内向けのチャットボットなど、
今までになかったサービスが誕生する

チャットボットの活用シーンというと、お客様に対する問い合わせ(カスタマーサポート)ばかりではありません。
カスタマーサポート業務と同様に、社内においても、定型的な回答で完結する問い合わせが日々発生しています。そのようなケースでは、チャットボットの導入によって問い合わせを受ける社員の対応時間・工数を軽減することが期待できます。さらに質問者側としても、疑問がすぐに解決することで、実際に質問にいたらないケースでも自己解決のために費やしていた時間が短縮されるという効果が期待できます。
情報システム部門、ITヘルプデスクでの一次窓口としての活用のほか、総務・人事・経理などコーポレートサポート部門での利用、さらに営業や事業プロセスマニュアル等をチャットボット化するといった事例が増えています。

理由6:2020年4月に政府の外出自粛要請により、
チャットボットの利用に拍車がかかる!

2020年4月にコロナウイルスの感染者数を少なくするために、日本政府は外出自粛要請を行いました。これにより、テレワークを実施する企業が急激に増えました。

テレワークの実施することで、社員間のコミュニケーションが減り、従来であれば、周りの社員に聞いて事足りたような簡単な内容であっても、都度担当部門にチャットやメールで聞かなくてはならず、担当部門としても、同じような質問が集中することで、テレワークによる業務効率が下がってしまいます。この傾向は社員が多い大企業に顕著な問題となります。

しかし、チャットボットを設置すれば、ほとんどの質問はAIが変わりに回答するので、業務効率が高まるばかりではなく、質問をする方も

「また同じ質問だけど…」
「当たり前の質問だけど…」

といった質問をするための心的負担も下がるために、全体として業務効率を高めることができるので、テレワークの導入とチャットボットの導入は非常に相性がよいのです。

こういった背景から、社内用チャットボットはテレワークの普及とともに増えていくはずです。

理由7:多くのチャットアプリが、
チャットボット用にAPIを提供

2018年に伊藤忠テクノソリューションズ株式会社が実施した調査によると、会社として公式にチャットツールを導入している企業の割合は約28%程度でした。

SlackやLINE WORKSあるいは、MicrosoftのTeamsなど、今は企業ではコミュニケーションツールとしてチャットアプリの導入は、テレワーク体制には必須のツールとなり導入が急加速することは間違いありません。

テレワークが推進された2020年には4割以上の企業が導入すると筆者は推測します。そしてこれらの大手チャットツールには、チャットボットと連携するためのAPIが提供されており、簡単にチャットボットを導入することができるのです。

チャットボット市場のまとめ

チャットボットが普及する7つの理由を解説しました。
このように、チャットボット導入により、企業は労働生産性を向上させ、収益を確保するために、自動化を推進するのは必然です。その中の一つの選択しとして、チャットボットの普及は急激に伸びていくことは間違いありません。
チャットボットについてもっと知りたいという方は、下記の記事でチャットボットの活用事例から、導入費用の目安など紹介しておりますので、ご覧ください。