チャットボットを自治体に導入する背景と注意点とは?
住民票の異動や、各種申請などの手続きを行う自治体において、チャットボットの普及が広がっており、日本各地の自治体でチャットボットを使った実証実験も開始されております。
自治体がチャットボットを利用する際は、自治体での実績はもちろん、管理画面がカンタンで、サポート付きのチャットボットベンダーを選ぶべきでしょう。
なぜなら、自治体の職員の多くはITが苦手な方が多いため、チャットボット導入においては、管理画面の使いやすさやサポートの充実が欠かせないからです。
本日は、現在チャットボット導入を考えている自治体担当者向けに自治体でのチャットボット利用について実際の事例を交えて解説いたします。
チャットボットの利用が自治体で広がる3つの背景
まず、チャットボットの利用や実証実験が全国で広がっております。その背景には以下の3つの理由があります。
背景①自治体ホームページは情報が探しにくい
自治体の業務範囲は非常に幅広く、そのため自治体には「同じような問い合わせが繰り返しある」のが自治体業務の特徴となります。さらに、多くの自治体のホームページが非常に見にくく、目的の情報を探しにくいのが現状です。
上智大学の学生の卒業論文ですが、自治体についてまとめた良いレポートがあります。それには以下のような、自治体のサイトの問題点が挙げられており、以下にポイントだけを引用します。
自治体のホームページがなぜ使いにくいのか?
①知りたい情報が探せない
- そもそも情報がない
- 情報があるが探しにくい
②見つけた情報が理解できない
- 情報の過不足が激しく理解ができないコンテンツ
- 読ませる努力のないコンテンツ
- リンクがないコンテンツ
ホームページが見にくいと、市民からの電話および窓口の負担もどんどん大きくなります。だからといって、ホームページリニューアルによって情報をわかりやすくするというのは、情報量が多い自治体サイトでは何千万円もかかる事業となります。
また、よほど実績のあるWEBコンサルタントがリニューアルを実施しなければ、情報量と利用者の多い自治体のホームページリニューアルは非常に困難なプロジェクトとなります。
そのような背景から、自治体のホームページにチャットボットを実装すると、ホームページをリニューアルするよりもはるかにカンタンで、情報を見つけやすくなるのです。
そのため、現在多くの自治体が、利用者の利便性の向上と、職員の業務効率向上を目指して実証実験を開始しております。
背景②繫忙期の職員の負担を平準化する
自治体の仕事には季節要因が多分に影響します。例えば毎年4月になると、引越しする人が多く、それに関する申請や問い合わせが劇的に増えます。職員の人数は限られておりますし、通常業務もあるため、自治体職員の負担は特定の時期に非常に大きくなる傾向があるのです。
しかし、チャットボットをホームページや庁内のタッチパネルに設置することで、市民からの問い合わせ対応を代行させることができるので、チャットボットでカンタンな質問なら、十分に回答することができるので、職員の繫忙期の負担を平準化することにつながります。
背景③自治体職員の非対面を推進したい
コロナ禍となり、業務の非対面化の推進は自治体でも広がっております。以下の総務省の資料をご覧ください。
データ引用先:デジタル活用支援推進事業について
自治体職員だけでなく、市民からも行政サービスの非接触化への高いニーズがあることがわかります。チャットボットを導入すれば、市民が自治体に行かなくてもホームページ上で、相談受付が可能ですし、あるいは自治体にタッチパネル式のチャットボットを設置すれば、庁舎内での非接触の取り組みを推進することができるのです。
自治体がチャットボットを導入する時の3つの注意点
それでは、自治体がチャットボット導入するための3つの注意点を解説します。
注意点①チャットボット選びには管理画面がカンタンでサポートがついているもの選ぶこと
チャットボットはディープラーニングが実装された、非常に高価なものから、月々数千円から導入できるものまで様々あります。しかし、自治体の職員にはITリテラシーが高くない方も多いため、自治体職員が使うのであれば、サポート付きで、管理画面が使いやすいものを選ぶべきです。
特にサポートは、費用が月々数千円~のチャットボットでは、メールでしかサポートを受け付けないというサービスも多々あります。弊社のサポートチャットボットでは、担当者がついて、しっかりサポートをさせていただきます。
注意点②自治体でのチャットボット実績
自治体での導入実績がないと、導入までが大変なケースがあります。例えば、実績のないチャットボットを使うと、回答をゼロから作る必要がありますし、チャットボットサービスの会社が自治体ならではのQ&Aなどを理解していないと導入に手こずります。
弊社のサポートチャットボットは今まで全国30自治体で、チャットボットを導入してきた実績があることから、チャットボットに導入するためのQ&Aデータも
- 子育て支援用Q&Aテンプレート
- マイナンバー用Q&Aテンプレート
など、様々ご用意しております、このように自治体でチャットボットを導入するなら、すでに自治体での導入実績が豊富なサービスを選ぶ方の導入が非常に楽になります。
注意点③庁内LANのLGWANに対応していること
実は自治体内のLANは通常の回線ではなく、行政専用のネットワークが使われており、それがLGWAN(Local government Wide area Network)という自治体専用の回線が使われており、普通のインターネット回線が使えないのです。
そのため、庁内チャットボットを設置する際は、LGWANに対応したチャットボットベンダーである必要があるのです。LGWANに対応するには、単にベンダーのLGWANに対応するだけではなく、ベンダーがLGWANに対応するための申請手続きが必要となります。
弊社サポートチャットボットでは、2022年よりLGWANにも対応しています。
ユーザーローカル、自治体専用のAIチャットボットサービスを提供開始~総合行政ネットワークLGWANに対応し、庁内のDX促進をサポート~
チャットボット自治体7つの事例
それでは、実際に弊社がサポートしたことのある自治体の7つの事例を紹介します。
事例①東京都八王子市のチャットボット事例
八王子市では、確定申告時には多くの質問が市民から届きます。例えば以下のようなものです。
「確定申告している場合、市民税・都民税申告書の提出は必要ですか」
「ふるさと納税の控除上限額の調べ方を教えてください」
「納期限までに納められない場合どうすればよいですか?」
このような質問に対して、24時間365日対応をするために弊社のサポートチャットボットを設置いたしました。
東京都八王子市のチャットボット画面
詳しく情報は、下記のプレスリリースをご覧ください。
八王子市がAIを活用したDXを推進するためユーザーローカルのチャットボットを導入~ホームページやLINEから市税に関する質問に自動応答~
事例②高知県のチャットボット事例
高知県では、ひとり親世帯など支援ニーズがある世帯に支援制度を知ってもらうために、制度などの情報提供から相談予約をワンストップでできるLINE公式アカウントを開設し、自動で回答することができるチャットボットを設置しました。
直接支援窓口に相談に行ったり、電話をすることが難しいときでも、チャットボットから24時間365日いつでもスムーズに情報を入手できるようになりました
高知県のチャットボット画面
詳しく情報は、下記のプレスリリースをご覧ください。
高知県「ひとり親家庭支援センター」、ユーザーローカルのチャットボットを導入しLINEでの自動応答を実現~「学費の支援制度は?」といった質問にすばやく回答~
事例③東京都府中市のチャットボット事例
府中市では、市民が各種手続きに必要な情報を入手するための問い合わせ方法を拡充し、市民サービスを拡充するために、チャットボットをWEBサイトに設置し、また庁舎内に設置したタッチパネルでも利用することができます。
これにより、市民は24時間365日必要な情報を入手することができるようになりました。
府中市のチャットボット画面及び庁内に設置されたタッチパネル
詳しく情報は、下記のプレスリリースをご覧ください。
府中市がユーザーローカルのAIチャットボットを導入~Webサイトやタッチディスプレイから手続きに関する質問に自動応答~
事例④静岡県菊川市のチャットボット事例
菊川市ではチャットボットを利用し、子育て関連情報やごみ・リサイクル、くらし・手続きに関する問いあわせの自動化の実証実験を実施。「みんなで育てる」というコンセプトをもとに、チャットボットの実証実験を実施しました。
この実験で集めた市民からの質問データを、チャットボットに蓄積しながら、AIチャットボットが回答できる範囲や、回答精度を向上させており、その成長をチャットボットのキャラクターの成長をコンセプトと結び付けました。
菊川市のチャットボット画面
詳しく情報は、下記のプレスリリースをご覧ください。
ユーザーローカル、静岡県菊川市と共同で「みんなで育てるチャットボット」がコンセプトの住民向け自動応答サービスの実証試験を実施
事例⑤愛知県豊明市のチャットボット事例
豊明市では、実証実験として、織田信長をモチーフとした豊明市のPRキャラクターの「のぶながくん」をチャットボットで利用し、豊明市のホームページに設置。出産や育児に関する問い合わせや市民生活の問い合わせに対応しつつ、キャラクターのアピールも行いまいした。
利用者も24時間365日対応になるなど、情報のアクセスに関する利便性が高まることが期待され、チャットボットの実証実験にいたりました。
詳しく情報は、下記のプレスリリースをご覧ください。
織田信長ゆかりの愛知県豊明市が、PRキャラクターの「のぶながくん」を起用した市民向け自動応答サービスの実証試験をユーザーローカルと共同で実施
事例⑥香川県丸亀市のチャットボット事例
丸亀市では、市民のホームページ利用の利便性を向上と、職員の業務効率化を課題として挙げられており、24時間365日自動で回答することができるチャットボットをホームページに導入しました。
チャットボットのキャラクターには、PRキャラクターの「とり奉行 骨付じゅうじゅう」を使い、市民生活でよくある質問から、丸亀市の観光に対する質問にもチャットボットが自動で回答することができるようになりました。
丸亀市のホームページのチャットボット設置画面
詳しく情報は、下記のプレスリリースをご覧ください。
「うどん」や「骨付鳥」で有名の香川県丸亀市がユーザーローカルのAIチャットボットを導入〜PRキャラクター「とり奉行 骨付じゅうじゅう」が市民からの質問に自動応答〜
事例⑦福井県のチャットボット事例
福井県では、利用者からの市民生活の悩みに対して、電話、SNSなど様々な問い合わせ口を用意して対応を実施しておりました。
しかし、どの窓口を使えば良いかわかりづらいという課題があり、「気軽に 簡単に いつでも どこでも」検索できるAIチャットボットを用いた検索サイトである「つながる・ライン」を開設しました。
また、チャットボットはAIによる無人対応であるために、より気軽に相談できるという効果も見込まれています。
福井県のチャットボット画面
詳しく情報は、下記のプレスリリースをご覧ください。
「悩みごと相談」の窓口として、福井県がユーザーローカルAIチャットボットを導入~AIが悩みごとに応じた適切な相談先を案内~